【感想】ケン・リュウ「紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1) 」

ケン・リュウ「紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1) 」(早川書房)

友人からの薦めで覚えていた書名を、本屋さんで見つけ、その本屋さんでも絶賛された本書。
たしかに大変おもしろかったです。

決して明るく楽しいお話ばかりではないのに、読後感はドスンと落ち込む感じにはならない。
切なく哀しく、でもどこかカラリと乾いている。

ただ最後のお話は、本当にかなしく、打ちのめされた。
最後の「もうヤンキースは好きじゃないの」のセリフに、感じる挫折感。でも、絶望ではない感じ。
このお話の中で、甘さんが説明した中国という国の説明、これがすごく納得するものであった。
「華(ホア)」=「野に咲く花」
日本語の響きだと健気で美しいという印象が先にくるが、本来しぶとい、どこにでも生える強くたくましいものだ。
どんな戦場でも中華料理屋がある、という言葉を思い出し、本当にそうなんだよなぁと合点がいった。

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