【感想】沢木耕太郎「壇」

ルポ,沢木耕太郎,「壇」,新潮社

いきなりネタバレだが、最後の最後の2行の文が、淡々としながら強烈な印象をあたえてくれた

「あなたにとっては私とは何だったのか。私にとってあなたはすべてであったけれど。
 だが、それも、答えは必要としない。」

平易な言葉だけでつづられているのに、無駄がなく、ほかのどのコトバで言い換えても同じ印象にはならない、すなわち本当にフィットする言葉だけを厳選して、間違いなく組み合わさってできた文章たち、そんな印象が沢木耕太郎にはある。多分、文章家というのは本来そうあるべきなんだろなと思う。
田辺聖子を読んだときも同じようなことを思った。何も特別な表現の言葉をつかってるわけでもないのに、
どうしてこんなに心に染み入ってくるんやろ、と。あと最近では須賀敦子かな。

こういうふうに感じ入るのは、日本人に私が日本語の文章を読むからできることであって、英語の翻訳文学を読むことでは絶対得られない。(私の英語のレベルでは、です。ほんとに英語が分かる人がうらやましー)
だから、私にとっては翻訳文学の面白さは、ひたすらストーリーの面白さが中心になってしまう。
もちろん訳者の力量にも左右されるのだが、作品の文章表現そのものに魅せられるようなことはあまりないだろうなぁ。(そもそも「これは原文でない。訳文なんだ」という前提を無意識に設けて読んでると思うし)

というわけで(?無理やり)、次はとうとうハリー・ポッターよみま?す。
楽しみ!!ああ、でも、原文で読んでみたいのぅ。

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