【感想】桜木紫乃「ラブレス」

桜木紫乃「ラブレス」新潮文庫

ラジオで誰かが、凄く刺さるよと話していたのを思い出し、近所の古本屋で見つけて気軽に購入。
読み始めたらあまりに強い引力で、抗えずほぼ一気読み…。色々夢に見そうでちょっと怖かった。昔、宮尾登美子のものを読んだときと似てるかも。

あらすじだけさらうと、単に救いようのない話にように聞こえるが、読んでいてそんな感じはまったくない。
どんなに大変なことがあっても、時間はすぎる。朝がくる。時間がすぎれば生傷が癒えてゆき、美しい思い出だけが残り、また同じ失敗を繰り返す。
だから不幸な人生だったかというと、そうではない。どう感じるかは、それぞの自由。それがとても力強い。力強いのだけど、たまらなく哀しい。

百合江と里美、対称的だけど、両方ともにそれぞれ共感できる。
でも、私はどっちにもなれないし、ならないなぁ、多分…。

 

お問い合わせ

制作依頼・ご感想・ご質問・お見積りなど、お気軽にお問い合わせください