【感想】伊与原新「藍を継ぐ海」

伊与原新「藍を継ぐ海」新潮社(Audible)

直木賞受賞作品。
週刊文春WOMANでゴローちゃんと対談していたな~、とか、NHKのドラマ「宙わたる教室」の原作の人なんだな~というくらいの前知識で。

5つの短編。科学的知見がうまく絡んでいて、とても面白いエンタメ作品だった。どれもこれも、映像化できそう。
人物造形がわかり易すぎるかなぁとも思ったけど、本書のタイトルになっている最後の「藍を継ぐ者」は、他4篇と比べて格が違う気がした。出てくる人物みな、何か心に抱えていて、それがすべて説明されつくされないところがいい。そして、時間的にも、地理的にも、タテにもヨコにも広がるダイナミックさ。グッときた。

ただ、Audibleで聴いてしまったので、方言が気になってしまった。
私がちゃんとわかるのは関西弁くらいだが、それでも西日本の方言はなんとく類推できるので、イントネーションが違うとひっかかってしまう。日本中のいろんな地域を舞台にしているので、方言もバラバラ。それぞれの方言を全部ネイティブレベルでしゃべれるようなナレーターさんはそうそういないだろうから、しょうがないんだろうけど⋯。贅沢を言うなら、方言に合わせて短編ごとに違うナレーターさんで聴いてみたかった。

お問い合わせ

制作依頼・ご感想・ご質問・お見積りなど、お気軽にお問い合わせください