【感想】上橋菜穂子「香君」

上橋菜穂子「香君 上 西から来た少女」文藝春秋(Audible)
上橋菜穂子「香君 下 遥かな道」文藝春秋(Audible) 

図書館で借りた時は、時間がなくて読めずそのまま返却。
Audibleにあることを発見して、ちょっとずつ聴いていたが、下巻からはかなりの一気読み…じゃなくて一気聴き。

朗読の方がとてもお上手で、登場人物ごとにちゃんと声色が違っていて、でもわざとらしくなくて、それもよかったのかもしれない。(平田 絵里子さん。もともとは声優さんみたい)
たくさんの示唆に富んだ、豊かで素晴らしいお話だった。何より単純に続きが気になるハラハラドキドキの面白い物語だった。
さらに、米の不足・価格高騰でたいへんなこの現在に出会ってしまったから、内容がより真に迫ってきた。

育てるのにコスパが良いオアレ稲。ただしこれを育てると他の種類の作物が駆逐されてしまう…多様性がなくなってしまう。何か一つのものに頼ることリスクの大きさ。リスクに応じた対策は、技術的にはできるはずでも、政治的にはなかなか実現できない…。まさに現実と同じだ。

物語はいったん閉じたけれど、弟ミルチャのことはほとんど触れられないままだった。
なにか外伝などでまた読めたらいいなぁ。

お問い合わせ

制作依頼・ご感想・ご質問・お見積りなど、お気軽にお問い合わせください