【感想】恩田陸「麦の海に沈む果実」

小説,恩田陸,「麦の海に沈む果実」,講談社

夢中になって夜中に読んだのに、読み終わって「それで?」って拍子ぬけ。
ファンの方には悪いが私にとっては期待はずれ。
構成とかプロセスとかは確かによく練られていて面白いんだけど、そもそも、「そうである必然性」が感じられないので満足感が得られない。たしかに場面場面の情景の美しさ、不可思議さはあって、それだけを楽しむのならいいかもしれなけど
私としては、「そうでなきゃいけなかった」理由みたいなものが物語のウラにないと、その不可思議な場面も引き立たない、と思う。
表現は緻密なわりに、モチーフがどうもはっきりつかみきれなくてフワフワした印象のまま終わってしまった。
自分の世界に陶酔しきった感じがするのに、表現はそれなりに客観的すぎて、どっちつかずの中途半端。
どうせなら思い切り主観的・観念的にして、小説じゃなくて詩にしてくれたらそんなふうには思わなかったんだろうに。
緻密なミステリーと思って読んだら、カンペキな自己陶酔の世界だったので、だまされちゃった感じがして居心地わるいのかしら。
きれいな絵のマンガだったら、絵の魅力で満足したのかもしれないな。

でも、関連作品も読んじゃうかも(笑)。居心地わるいんだけど後引くものがありました。

ここの書評に共感をえました。

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