【感想】「どろろ」

「どろろ」,,
日本,2007
塩田明彦,(品川プリンスシネマ)

うーん、マンガとは別物としてみようと思っていたけど、でもなんかどうしても意識してみちゃいますね。
これはしゃあないか。やっぱり私は手塚治虫の大ファンなので。先入観ナシで見るのはムリ!

ちょっと全体的に「軽かった」というのが率直な感想。

・CGが意外とチャチ・・・。売りはそこじゃなかったのかよ!
 TV以上映画未満、という程度でウソっぽさが目立った。
・妻夫木くんは、わりとよかった。若者らしくて、でもそれなりに色気もあって。
・土屋アンナ、ビジュアルはすごくいいけど、ちょっとカツゼツ悪すぎです。
・中井喜一、さすがに武士らしい立振舞がすばらしいです。(当たり前か)
 でも、悪役としての凄みとかいやらしさにかけたかも。これは演出のせいとも思うが。
・あの城は、どうしても「ハウルの動く城」にしか見えなかった・・・(笑)

役者はわりとみんなよかったです。(個人的に柴崎コウは好きじゃないのですが・・・あの目のギョロっとした感じが、どろろっぽいといえばどろろっぽかった!?)

それより、私はなんで舞台を架空の世界にしちゃったのかなーと思いました。
日本の戦国時代に似てるくせに架空の世界、というのが、世界観の薄さというか軽さを感じさせる一因になってるんじゃないかなーと思うわけです。やっぱり人間、現実と地続きな部分がないと、哀しさとか恐ろしさとかいう感情を呼び起こすのが難しいと思う。
私は、室町時代という実在した時代でありながら、あの荒唐無稽な話を「ひょっとしたらこんなことありえたんかも!?」って思わせてくれるような巧妙な演出を見たかったんだよなぁ。多分こういう舞台設定にしちゃったせいで、今回の映画、心に強くグッとくるもんがなかったんです、私には。
明らかに日本じゃない、広大すぎてカラカラに乾燥した大地(ニュージーランド)も・・・なんかなぁ、と。もっとじめじめした、狭くて暗い日本の山林を背景したほうが説得力あったんとちゃうかなと。

というのは、まぁ日本人ならではの感想なんでしょうね。
外国では受け入れられやすいんだろうなと思います。
無国籍で分かりやすいですし設定自体はさすがに面白いですし。

でも、しつこいけど、たとえ完全娯楽映画だとしても、なんかもうひとひねり、ほしかったなぁ。
ここはとにかくすごい!と思えるような点を。なんか全体的に「ほどほど」って感じで突出したもんがなかった。
多少分かりにくくても、押井守の「イノセンス」のほうがすごく心に響いて後引くもんがあったんだけどなぁ。あれは、舞台が(一応)東京で、自分との地続き感もあったしね。(←比較対象がむちゃくちゃですな、スイマセン)

ま、でもそれなりに楽しめたんですけどね。(って今さら言ってもそれこそ説得力ナシ(笑))

お問い合わせ

制作依頼・ご感想・ご質問・お見積りなど、お気軽にお問い合わせください