【感想】その街のこども 劇場版

「その街のこども 劇場版」,日,2010,井上剛,(東京都写真美術館ホール)

 

 


去年2010年の1月17日の夜にNHKで放送されたドラマが、再編集されて映画上映されたもの。
当時見たときの私の感想がツイッターに残っていました。

その街の子ども、見ました。なんか、なんとも言えなかったです。いや、よかったんですよ、すごく。ドラマじゃなかったけど、ドキュメンタリーでもなかった。15年って、一瞬なんですよね。 #nhk #19950117
posted at 00:18:23

去年のこの日は、正月に母が急に死んでしまってから、間があいてなかったのもあって、いろいろと過敏になってたなぁ、なんてことも映画を見ながら思い出しました。

そして、やはり震災当時のことも思い出しながら。
私は東京の空の下から、被災した故郷・西宮を眺めていただけ。
実家も被災したし、周りの建物もいっぱいつぶれたけど、家族は無事で家も残って。

知った人が家族ごと亡くなったり、生まれ育った思い出の場所がガラリと変わってしまった震災は、私にとって絶対他人事じゃない。
だけど、現地に居もしなかったモンが何を語るというのだろう、という、軽い、ごくごく浅い、後ろめたさみたいなものがずっとあったし、今もある。

でもこの映画は、そんな自分にも優しく、でもドライに押し付けがましくなく、接してくれる感じがした。
だからどうしても涙が止まらなかったのです。

TVドラマの時は、あの当日の夜に放送する、っていうのがすごくデカかったと思ってまして、ドキュメンタリーっぽいカメラワークと、ふたりの飾らない、生っぽい台詞運びに、「ホントに夕べこんなことあったんちゃうかな?」って思わせてくれました。

だから映画館で見なおすってどうなのかな、って思ってましたが、いやいや、全然大丈夫でした。
というか、震災の日から離れた分、普遍的なテーマ・ドラマとしても成立するんだということが分かった気がしました。

森山くんとサトエリ、二人は夜、神戸の街を延々歩きながら、語る。語りながら、歩く。
二人全然違う方向見てたり、違うことしゃべってたりもする。思ってることも、きっと違ってることのほうが多いと思う。
でも、時々一致する時もある。一致したんかな?って思う瞬間があったりする。

そうやんな、日常の会話とか付き合いってそんなもんやな。仕事のように目的のある話し合いじゃなければ、文法ちゃんとした台詞でやりとりなんかせえへんもんな。けっこう自分だけで勝手にしゃべってるだけのことが多いのかもな。自分もけっこうテキトーでしょーもないヤツやし、結局人との付き合いってそういう程度のもんかもな。

そんなリアルな現実を感じて冷静になる一方で、

でも、そんなすれ違いが当たり前の世の中だからこそ、意見や気持ちが一致したと感じた時がすごく嬉しかったりする。えがたい経験として、忘れられない思い出になったりする。元気を出すための糧になるときもある。

じゃ、そういうええことも、時々あるし、まぁまた毎日生きていきましょうかね?

映画の最後は、そんな感じに、自然に、前向きな気持ちになれたのです。
「励まされる」とか「元気づけられた」とかではない、この微妙な塩梅が、どうもうまく説明できないのが残念なんですけど…。

脚本と、演出と、俳優と、音楽と、撮影場所と、すべてがそろって初めて、この微妙な、現実的なのにファンタジーにも感じる、優しい雰囲気が作られていて、映画館でそこですっぽり入り込めたのは、幸せでした。

特に脚本の渡辺あやさんについては、インタビューを映画館前で読んで、ますますファンになりそうです。
この作品と、やはりNHKの単発ドラマである「火の魚」だけしか見ていませんが、「ジョゼと虎と魚たち」も見ようかな。(次々回の朝ドラの脚本担当されるらしいので、すごく楽しみ!)
あと、監督の井上剛さん。最近になって、大好きだった「ちりとてちん」や「ハゲタカ」で手腕を発揮されてたと知りました。今は「てっぱん」を楽しんで見ています。

この二人のタッグ、またぜひいつかどこかで!

 

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