【感想】マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー「マルティン・ベックシリーズ」全10巻

小説,マイ・シューヴァル/ペール・ヴァールー Maj Sjöwall / Per Wahlöö,角川文庫,高見 浩 訳

『ロゼアンナ』 Roseanna 1965
『蒸発した男』 Mannen som gick upp i rök 1966
『バルコニーの男』 Mannen på balkongen 1967
『笑う警官』 Den skrattande polisen 1968
『消えた消防車』 Brandbilen som försvann 1969
『サボイ・ホテルの殺人』 Polis, polis, potatismos!  1970
『唾棄すべき男』 Den vedervärdige mannen från Säffle 1971
『密室』 Det slutna rummet 1972
『警官殺し』 Polismördaren 1974
『テロリスト』 Terroristerna 1975

ロゼアンナ (角川文庫 赤 520-4)
ロゼアンナ (角川文庫 赤 520-4) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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蒸発した男 (角川文庫 赤 シ 3-2)
蒸発した男 (角川文庫 赤 シ 3-2) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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バルコニーの男 (角川文庫)
バルコニーの男 (角川文庫) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

角川書店 1971-08
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笑う警官 (角川文庫 赤 520-2)
笑う警官 (角川文庫 赤 520-2) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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消えた消防車―推理小説 (角川文庫 赤 520-3)
消えた消防車―推理小説 (角川文庫 赤 520-3) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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サボイ・ホテルの殺人 (角川文庫 赤 520-6)
サボイ・ホテルの殺人 (角川文庫 赤 520-6) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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唾棄すべき男 (角川文庫 赤 シ 3-7)
唾棄すべき男 (角川文庫 赤 シ 3-7) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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密室 (角川文庫 赤 520-8)
密室 (角川文庫 赤 520-8) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 井田 洋介

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警官殺し (角川文庫 赤 520-9)
警官殺し (角川文庫 赤 520-9) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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テロリスト (角川文庫)
テロリスト (角川文庫) マイ・シューヴァル ペール・ヴァールー 高見 浩

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スウェーデン発のミステリー。警察小説。
発行時期と同時代を描き、10年間続けることでスウェーデン社会の変遷と闇を批判的にあぶりだしていきます。
でも、愛情をたっぷりそそがれて描かれた登場人物たちが、とても生き生きと魅力的で、すばらしいエンターテイメントにもなっています。登場人物の大半が40代-50代のおっさんですけど(笑) 。

10年ちょい前くらいに、母から借りて読みました。
当時もすごく面白かったのですが、登場人物の設定以外、すっかり頭から抜けており、今回再読ながらガッツリ楽しみました。
昨年10月くらいから読み進めて、先日ようやく読了。読み終わるのがさみしかったです。 

昔読んだときは、ベックはずっと年上のおじさん、て感じだったのに、シリーズ1作目「ロゼアンナ」なんかだと42歳。今の私からするとちょっとだけ年上の男性ってだけ!
それだけでも物語の感じ方がだいぶ違うし、ベックやコルべりの、社会への憂いや家族への想いが、昔よりも真摯に突き刺さりました。

40年ちかく前の話なのに、今の日本にもそのまま通じる社会問題ばかり。
福祉国家、住むのに優しい国といわれる北欧、スウェーデン。なのに、住んでる人間からすると、閉塞感と停滞感がハンパないことがひしひしと伝わってきました。
今の日本も、他所の国からは憧れられているのに、国民からするとそこまで幸福感いっぱいではなくて、と言われていますよね。
結局、国家が西洋的な成熟を迎えるあたって、直面する問題はどこでも同じなのかな・・・。

ただ、やっぱりスウェーデンは違うな!と思うところもたくさんあって、そのひとつが、子育てスタイル。
子どもが1歳や2歳くらいでも、コルべリ夫婦はフツーに外へ食事に出かけたりしてました。描写は特になかったけれどベビーシッターにあずけてたんだろうなァ。
子育てしている友人たちを見ていると、日本じゃまだまだそういう日は遠い気もする・・・。(いや、未来のことはわかんないけど)

昔読んだときも、今読んだ時も、一番好きなキャラは、レンナルト・コルべり。
快楽主義ってところがまず大賛成だし(笑)、運動神経抜群で、かつ頭も切れるなんて、ほんと理想的。かっこいい。デブなところはご愛嬌。

でも、コンビの魅力でいうと、ベック&コルベリよりも、グンヴァルド・ラーソン&エイナール・ルンのほうが、なんか可愛げがあって前よりも好きになりました。特にルンがなぁ~、優秀なのに、垢抜けなくて報われない感じが常にあって愛おしい。そんなこと思う自分も、ちょっと年食ったんだなあと思いました。

シリーズ中いちばん好きなのは、やっぱり、このシリーズを有名にしたという「笑う警官」。
謎解きも凝っていたうえに、 当時のオールスター総出演でキャラクターそれぞれの魅力が発揮されていたと思います。 

最後の「テロリスト」では、しばらくご無沙汰だったメランデルその他、今までの出演者がどんどん出てきて、うれしいかったんだけど、あぁこれで終わりなんだ~としみじみしてしまいました。
この3ヶ月、楽しかったわー。 

昔のお話だけど、決して読んで古くさいとは思えません。
オススメですので、これを読んで興味を持たれた方は、ぜひ!

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